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ダウントン・アビー シーズン1 感想・あらすじ 文字通り「華麗なる一族の館」

イギリスの大人気ドラマ。シーズン6ですでに完結している作品です。内容は貴族所有する邸宅を舞台としたヒューマンドラマ。huluでの紹介文には、”このドラマは事件になる”とあるけど、具体的な内容は想像がつかず。だけど、シーズン6まで続く作品がつまらないわけがないと、前提知識もないまま視聴を開始しました。

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《作品について》

1.データ

  • 製作・脚本:ジュリアン・フェロウズ
  • テレビ:2010年10月~ イギリスITV

2.キャスト

  • ロバート・クローリー(ヒュー・ボネビル):クローリー家当主 ダウントン・アビーの主
  • コーラ・クローリー(エリザベス・マクガヴァン):ロバートの妻 結婚時の持参金を守りたい
  • メアリー・クローリー(ミシェリ・ドッカリー):クローリー家長女
  • マシュー・クローリー(ダン・スティーヴァンス):クローリー家の相続人

3.あらすじ

1912年のイギリス。タイタニック号沈没のニュースが、物語の舞台となるダウントン・アビーと呼ばれる大邸宅に大きな変化をもたらす。

邸宅の主であるクローリー家当主でグランサム伯爵のロバートはの子供は3人の娘。女性が家督を引き継ぐことができなかったこの時代、相続人であった長女メアリーの婚約者パトリックとその父ジェームズが、共にタイタニック号沈没の犠牲者となってしまった。

次位の相続人で、中流階級出身の遠縁にあたるマシューがダウントンに呼ばれる。しかし、貴族の生活様式を嫌うマシューと、何とか長女メアリーに財産を相続させたい周辺の思惑。また、新しく邸宅で働くことになった元軍人のベイツを中心に、使用人たちの間でも複雑になる人間関係。

実際に起こった出来事などを背景に、ダウントン・アビーでの人々の暮らしや人間模様について描かれる。

 

《ドラマチック感想》

◆物語の世界に不思議と引き込まれる

第1話は登場人物も多いし、服装や館の調度品などお城っぽいけど中世でもないっていう時代設定になれなくて、面白さがいまいちわからず…。イギリスの貴族文化とか、この時代に興味があるわけではない私には退屈な作品か?と思いながら鑑賞。

だけど、第2話、3話と視聴を進めると、びっくりするくらい徐々に物語に引き込まれました。

その理由をまとめてみたらこんな感じ。

  1. 貴族・使用人それぞれのキャラクターが立っている
  2. 当時の文化が分かり易く描かれている
  3. 財産とか恋愛とか嫉妬といったドラマの定番エピソードが、当時の時代背景で盛りだくさんに描かれている
  4. 新しい時代への移行期で、色々な価値観の人物が描かれていて、物語の幅が広い

ドラマをとおして、当時の階級社会に生きる人々の階級に沿った生き方がよくわかります。貴族の暮らしや役目ってこんなんだったんだなとか、使用人は使用人であることに絶対の誇りを持ってたんだなとか。でも、世の中の変わり目で、女性の自立とか貴族制度廃止といった新しい価値観も芽生えていて。

そして身分も性格もそれぞれなのに、不思議とどの登場人物の気持ちにも共感できてしまいます。貴族の気持ちになって、財産を守りたくなるし、使用人の立場争いでは嫉妬から嫌がらせしちゃう使用人の気持ちもわかる。

華麗なる一族の館で巻き起こる色々な人間ドラマに、首を突っ込んでるみたいに見ることが出来ます。

 

◆マウンティング、ランク付だらけ

ドラマの中では、とにかくランク付けのオンパレード。

貴族は貴族同士で格の競い合い。身内以外の人は基本悪口で、身内でも格下だとディスりの対象です。

使用人にもランクがあって、来客対応は執事や主人付き使用人だけで、メイドは対応してはだめとかルールがあったのに驚きました。

兄弟では、もちろん男性・長子至上主義。クローリー家でも、みんなが長女に重きをおきすぎるもんだから、次女がすねちゃって。

いつの時代・場所でも、人間はマウンティングやランク付けをしてばっかりですね。

◆時代背景や階級社会についてもっと知りたくなる

日本には、貧富の差はあるけど、「階級」という概念はないですよね。だけど、イギリスでは、今も意識の底には階級社会が根付いているそう。

階級制度はイギリス人にとってアイデンティティーで、貧富の差に関係なく、階級は努力によって移動できるものではないそう。階級意識がより強かったドラマの設定時代である1910年代はなおのこと、その意識が色濃く描かれています。

また、ドラマの大きなテーマの一つになっている「限嗣(げんし)相続制度」。クローリー家ではこの制度のために問題が起こっているわけで。公式ページには以下のように説明がありました。

限嗣相続とは:相続方法を限定する制度。親族内で相続の順位を定め、不動産などの財産が売却や贈与で分割されることを防ぐ。多くの場合、長男を先頭に男系の親族をたどって、たった1人の男性の相続人がすべてを継ぐよう決められ、女性は相続できない。

はぁー。女性や長男以外にはなんともやるせない制度。。。。

こんな階級制度の意識や制度があっての登場人物たちの価値観。そこらへんをもっと理解すると、物語をよりいっそう楽しめそうです。

◆時代の転換期ならではの価値観のばらつきが面白い

電気や電話が普及し始め、女性参政権や階級制度を廃止を求める声があがるなど、新しい時代の風が吹き荒れている時代。そんな転換期だからこそ、色んな考えの人がいて。これまでの伝統を守ろうとする人。前衛的な考えを持つ人。それぞれが今を生きて、自己実現のために奮闘する姿が物語の幅を広げています。

 

シーズン1は、イギリスとドイツの間で戦争が始まったとの知らせが届くところで終わりました。シーズン2は戦時が描かれているよう。ダウントン・アビーの人々の生活がどう変わっていくのか、引き続き楽しみたいと思います!