huluが独占配信を行っている『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』。
出生率が極限にまで下がってしまった近未来のディストピアを描いた作品で、1985年出版のマーガレット・アトウッドの小説『侍女の物語』が原作です。
有りそうで無さそうな、無さそうで有りそうな、人間の根源を問いかけるダークな世界。
2017年度のエミー賞やゴールデンクラブ賞で作品賞・主演女優賞などを獲得した話題の作品です。そのあらすじや感想を紹介したいと思います。
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《作品について》
1.あらすじ
性感染症と環境汚染のために、出生率が極限までに下がってしまった近未来。
アメリカ合衆国では、全体主義を主張するキリスト教一派が政治を乗っ取り、ギレアド共和国を立国させる。その政権の中で、女性は全ての権利を奪われ、家庭に入ることを強要される。
数少ない妊娠可能な女性は”侍女”として、子供を産むためだけの存在として扱われる。権力者たちの家に配属され、儀式と称されて行われる妊娠への行為。産まれた子供は、権力者夫婦の子として取り上げられ、侍女はまた子を産むために別の家に配属される。
その存在は奴隷と等しく、自由も名前も奪われる侍女たち。夫と子供を奪われた主人公オブフレッドも一変してしまった世界で絶望の中過ごすが…。
2.キャスト
- オブフレッド/ジューン・オズボーン(エリザベス・モス):主人公 侍女として司令官の家に使えることに
- フレッド・ウォーターフォード(ジョセフ・ファインズ):司令官 ギレアド公国を作った中心人物
- セリーナ・ジョイ・ウォーターフォード(イヴォンヌ・ストラホフスキー):フレッドの妻 思想家・活動家
- ニック(マックス・ミンゲラ):ウォーターフォード家の運転手
《ドラマチック感想》
断固反対!な世界
このドラマは、「種の保存」という目的から派生した女性差別やLGBTに対する弾圧が、これでもか!?といくらいに描かれています。
正直、見ていて、全く気持ちの良いストーリーじゃありません。
監督たち曰く、「苦しみの中にある希望」を描いているとのことですが、希望がどうとか以前に、こんな困難描いていいの?と問いたくなるような設定です。
だけど、続きが気になってしまうのは、一歩間違えば、こんな世界になってしまうかも?という、リアリティさがあるからかも。
実際、世界には女性蔑視の風習から起きる事件はたくさん起こっているし、全くあり得ない世界ではないと思います。
平等や非差別が謳われながらも、社会の根底に渦巻いている意識。
人々が隠したり、知らないふりをしているひずみや意識を、極限まで大きくさせたら、こんな世界になるのかも。
女性は子供を産むためだけの道具なのか?同性愛は神への冒涜なのか?
とりあえず、女性に男性と同じくらいの腕力があれば、こんな差別は生まれないかもしれません。
スロー&パンデミックな緩急ある展開
物語は、主人公オブフレッドに降りかかる異様な生活を描きつつ、時間軸は過去へと度々移動して、現在に至るまでの流れが徐々に解明されていくという構成。
最初、わりとゆっくりな展開でストーリーが進みますが、シーズン中盤からは急にスピード感が増して、色々な展開が。
特に、世界が変わった節目は、病気が瞬時に蔓延するかのように、世界が一変したように描かれていて、スピード感がありました。
なので、1話、2話あたりでいまいち?と思っても、もう少し見続けていくと、きっと面白くなると思います。
違和感の正体は?主人公エリザベスの名演技
オブフレッド役でエミー賞とゴールデングローブ賞の主演女優賞をとったエリザベス・モス。
はじめは演技に違和感があって、なぜ高く評価されているのかよくわからなかったんだけど、1シーズンを見終わると納得です。
違和感は、たぶん、私たちが日常で触れない「恐怖」の感情が体現されていたから。
すっかりおかしくなってしまった世界。今はこれが現実で、決して逃げることができない。休まることがない「恐怖」を、表情・姿勢・まとう空気ににじみ出している演技だったんだ、となりました。
さらに言えば、その違和感程度の絶妙な表現が、ぐっとリアリティさを増している要因なんだと思います。主人公が恐怖をもっと、こてこてに表現していたら、このドラマはただのヘビーでホラーな物語になっていたんじゃないでしょうか。
おすすめ度 ★★★★☆
シーズン2を大前提に終わったシーズン1のラスト。アメリカではすでに4/25からシーズン2も配信されています。そして5月にはシーズン3の制作も発表されています。
日本も順を追って、年内には放送が開始するのではないでしょうか。
ジェーンの子供は?ニックとの関係は?誰かが助けに来るの?抵抗組織「メーデー」は?侍女たちが元の生活に戻れる日はやってくるの??色々気になります。
女性が虐げられるディストピアなんて見たくないんだけど、気になって続きを見てしまう。そんなドラマのご紹介でした。
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