洋画

『ラ・ラ・ランド』 L.A.を舞台にした夢追い人のラブストーリー

何かのコラムで、『逃げ恥』を見てキュンキュンできなかった人は、心が死んでいると書いてありました。

そうです、私、キュンキュンできなかったアラフォーなんです。あれま。

そんな私に友人が勧めてくれました。『ラ・ラ・ランド』。観れば、この映画にノックアウトされるはず。そして、お前の地中深く沈んだハートは、不死鳥のごとく蘇るはず!と。

実際、彼女は観終わった後、現実とドラマの境がわからなくなって、映画館を出て数時間、呆けてしまったそうです。体が言うことをきかない。そのくらいの衝撃だったと。そんな作品を見た感想です。

《作品について》

《データ》

  • 監督・脚本:デミアン・チャゼル
  • 音楽:ジャスティン・ハーウィッツ
  • 公開:2016年(米)、2017年(日)
  • 受賞歴:第89回アカデミー賞(監督賞・主演女優賞・撮影賞・作曲賞など6部門)、第74回ゴールデン・グローブ賞(作品賞・主演男優賞・主演女優賞・監督賞など7部門)など

《キャスト》

  • セバスチャン(セブ)(ライアン・ゴズリング): 主人公 ジャズを愛し、本物のジャズが流れる自分の店を持つことが夢
  • ミア(エマ・ストーン):主人公 女優を目指し、カフェで働きながらオーディションを受け続けている
  • キース(ジョン・レジェンド):セブの旧友で、セブをフュージョンバンドに誘う

《あらすじと感想》

ストーリーは、女優を目指す主人公のミア(エマ・ストーン)と、本物のジャズだけを流すお店を持ちたいという夢を持つセブ(ライアン・ゴズリング)が魅かれ合い、お互いの夢を支えながら、邁進するというミュージカル。

以下は、私にこの作品を進めてくれた友人の感想。

一番の見どころ。偶然の出会いが重なって、いい感じになってきた二人が、丘で歌うシーン。

夜空がかぶさってきて、今にも山の端に消えそうな夕焼け。その美しい風景をバックに、二人の息がぴったり合ったノンストップのダンス。「君は感じがよくないしね」というセバスチャンに、「あなたと付き合うかを決めるのは、私」とミア。

消え入る太陽の光を前に踊る一発撮りの緊張感。そして受け身の人生じゃなく、自分が選択するという力強さを感じるミアの台詞のカッコ良さ。

そしてラスト10分の怒涛の、ミアの空想シーン。もしも、セバスチャンと結ばれていたら?夢を叶えるためにもがき続けた、かけがないのない日々。その時傍にいた大切な人との、成し得なかった幸せの記憶。

過去は戻らないし、未来も変わらない。だけど、今も交わる視線だけでお互いをわかりあえる二人。

経験あることないこと、いや、そんな経験全くないんだけど、ミアの妄想が自分の人生の走馬燈のように、夢や愛やせつなさが映像からドバーッと押し寄せてきて、涙が止まらなかった。

私とその友人は、大学時代からの親友。若かりし頃は、一緒にバンドなんかもやって、お互いの就職も、結婚も、出産も、ずっと近くで見てきた間柄。

そして、育休復帰後の仕事と家事と育児とで日々の生活に追われ、『逃げ恥』にもきゅんきゅんできない程、余裕のなかった私。それを聞いた彼女が、お前のようなやつこそ、この作品を見るべきだ!となったわけです。

そして、彼女の感動の熱が憑依した状態で、ラララを観に行った私の感想。

友人の感想が的確すぎて、ここがあのシーンか、と客観的に見てしまった部分もあって。感情移入しきらずに終わってしまいました。

いい映画だったけど、泣けなかったよぅ。と伝えると…

「・・・お前の心は完全に死んでいる」。悲しいジャッジが下されました。

だけど、二人が見せる、色々なジャンルのダンス。ほぼピアノが弾けない状態から、3か月の猛特訓を経て、劇中で見事な腕を披露するライアン・ゴズリングのピアノ(俳優さんってすごい!)。あえて古典的な要素やオマージュをたくさん盛り込んだ映像や、エマの着ているかわいいドレスに、懐かしくて新しい音楽。見どころたくさんで、良い作品でした。

私も、もう少し余裕が出てきたら、キュンキュンできるかしら。その頃、もう一度改めて観てみたい作品です。