石井監督と主演の満島ひかりちゃんが結婚していると知ったとき、こんな息のあった素晴らしい作品を、一緒に作り上げた二人が惹かれ合うのは当然だわ!と思いました。なので、離婚したときはちょっと寂しかったな。
それはさておき、私にとっては、邦画BEST3に入る大好きな作品です。
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《作品について》
《データ》
- 監督・脚本:石井 裕也
- 主演:満島ひかり 遠藤雅
《あらすじ》
恋愛も仕事も、妥協。
自分はしょせん中の下の女だから、と人生を流されるまま生きている佐和子。
家出で上京した東京から、父親が倒れたのをきっかけに、家業を継ぐため地元に帰ることに。
そこでもやっぱり、全てがうまくいかず。お父さんの病気、家業のしじみ工場は破たん寸前。パートのおばちゃん達には総スカンをくらい、一緒に帰ってきたバツイチ子連れの彼氏は、子どもを置いて、佐和子の幼馴染と駆け落ち。この駆け落ちも、佐和子が上京するきっかけとなった家出(幼馴染の好きな人との駆け落ちだった)の仕返しという、やるせなさ。
色々あった結果、開き直って、人生もう頑張るしかない!と一念発起する佐和子。しじみ工場の立て直しを図る。
そこからは、川の底で淀んでいた水が、一気に流れ出すような勢い!
佐和子の奮闘ぶりに、周りの状況も変わっていって…。
《ドラマチック感想》
佐和子は、色々起こるどうしようもないことを、すぐにしょうがないって諦めます。それを人のせいにしたりもしない。自分にも他人にも期待していないから。卵の殻の中に閉じこもって、落ちてくる水しぶきをじっと一人でかぶってる感じ。
だけど、開き直って、殻を破って出てくるんです。口癖の「しょうがない」を、「頑張らないとしょうがないでしょ」に変えて。そしたら、ちゃんと人を巻き込んでいきます。
お父さん、パートのおばちゃんたち、彼氏の連れ子、あんたたちも頑張らないとしょうがないでしょ!と、みんなを引っ張ります。自分だけじゃなく、周りの力も借りて頑張る。そう、人は皆、誰かに頼ることでしっかりと立つことができるんです。最後は浮気して戻ってきた彼氏にもちゃんと怒りをぶつけます。お父さんの遺骨を投げつけて。
中の下の人生でも、しょうがないことがいっぱいあっても、なんとか頑張る。そんな、ちょっとダサくて魅力的な主人公を、満島ひかりが演じています。
なかなか悲惨な出来事を、暗くならないテンポと絶妙なユーモアで軽快に描いているこの作品。最後は、ああ、明日から私も頑張ろう、と、心の底から元気をもらえる作品です。